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【書評37】介護入門/モブ・ノリオ
| 介護入門 | |
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平成16年度の上半期における芥川賞の受賞作として一躍有名になったこの作品。大麻を吸いつつ、「YO、朋輩(ニガー)」と言いながら祖母の介護に精を出す青年が主人公という設定にいきなり度肝を抜かれる。とは言え、そんな設定はどうでもいいか。
とにかく、ぶっ飛ぶ。介護の本には似つかわしくない紹介だと思うが、それがこの本の真実に最も近い表現だろう。介護をテーマに扱ってるが、主人公の感情は極々自然だ。そして、介護の問題の多くは技術論もあるが、精神論の部分も大きいと考えると、この本は打ってつけだ。
介護する家族の本音が物語形式で書かれているため、スルリと入ってくる。文体も独特だが、慣れれば小気味良く入ってくる。
しかも、実用的。確かに介護の入門書と言えるかもな、と思えるような内容だが、その内容は過激な真実を映し出す。たとえば、作品の途中に何度か、登場する介護入門の1つを紹介しよう。
介護入門1:
誠意ある介護の妨げとなる肉親には期待するべからず。仮にそのような肉親が自ら名乗り出て介護に当たる場合は、赤の他人による杜撰さを想定し、予め警戒の目を光らせよ。続柄意識だけが義務感となって彼らを緩慢に動かすに過ぎない。被介護者とともに生き、ともに死ぬ覚悟なき義務感など、被介護者を必ずや不快にさせると思え。責任感は気高く、義務感は卑しい。彼らの汗を目にしたときに限り、警戒を緩めるべし。
あまり多くの人が言わないが、これは1つの真実だ。作品自体が面白いし、介護の入門書としてもすごく重要な書といえるだろう。時々、読み返したくなる良書。
誰かの体験談を聞くことっていうのは結局のところ、ちょっと先の自分の未来を知ることだと思う。この本を読むと主人公の体験を追体験出来る。この主人公の体験があなたの未来と重なるとは限らないし、そうはなりづらいだろう。
しかし、あなたが突入する介護生活の一端をあなたは確実に知ることになる。もし、突入しているのであれば、共感することが多いだろう。
さあ、書を開き、思う存分ぶっ飛んで欲しい。
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