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2009年01月06日 09時00分

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【書評61】老いる準備/上野千鶴子

老いる準備―介護することされること
老いる準備―介護することされること上野 千鶴子

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「なぜ女ばかりが看取るのか」という問いを上野さんはこの本で探求している。そして、だとすればどのような現実的な解決策があるかまで踏み込んでいる。東大の教授らしく、まずはマクロ分析から入る。

そもそも、親子は世帯分離する傾向があるが、かといって依存関係は強化されている、と上野さんは言う。

親には老後不安がある。それが日本の高齢者の貯蓄率を上げている。金ではまかなえない人手として介護期待を子供にはしている。

子供にも親にすりよる利害がある。親が形成した資産の承継への期待があるし、下宿代わりに親の住宅インフラをタダで使える。結婚すると育児援助や家事援助のもっとも強力な助っ人になるというのだ。

一方で、親子の距離が意外と重要だという。子供の家に親を呼び寄せる「呼び寄せ」はトラブルを招きやすい。親からすると、自分の住み慣れた住まいから離れ、あとからよそ者として登場することになる。孫との関係もギクシャクしやすい。

こうした背景もあって、最近増えてきているのは近接異居だ。二世帯住宅型で玄関が別などのケースだ。

この選択が重要なのは、高齢社会をよくする女性の会の調査によると、平均介護期間は7年と長期化していることからもよくわかる。少しでも間違った選択をすると持たないくらい、介護は厳しいのだ。

こうした時代背景を元に上野さんはよい嫁で介護するなら、2つの契約を結ぶことを提案している。

1.お世話をする当の夫の親と養親子契約を結ぶこと。
2.介護を始めるときにほかの兄弟にあらかじめ、相続放棄してもらうこと。

要するに頑張った分の報酬がないと、タテマエだけでは動けないよ、ということだ。

上野さんが繰り返し主張するのは、介護はタダじゃないということだ。そのとおりだと思う。介護保険は介護サービスに対価が発生したことで、女のタダ働きはタダではない労働だったことを証明した点で評価しているという。

さらに、よいものが選ばれ、悪いものが市場淘汰される当たり前の原則が介護の世界では起こりづらかったことも指摘している。

その原因の1つはケアサービスの主役は本人のはずだが、意思決定者は実はその家族であることが多く、ニーズが食い違うことがあるのだ。

たとえば、縛り付けられていても、家に帰らなければいいサービスということになるかもしれない。

ジェンダーや社会学の側面からこの問題に切り込んでいるが、本質的な解決策も多く用意しているこの著書。読んで損はなさそうだ。



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